降り積もる雪 心はヨセミテへ

アメリカで勉強をしていた頃、長い休みのたびに旅行をしていました。
ヨセミテ国立公園(Yosemite National Park / 1984年に世界遺産指定)には、二年間ちょっとの滞在中に春夏秋冬4回出かけました。
 
当時生活をしていたアリゾナ州とカリフォルニア州はお隣りとはいえ、そこは広いアメリカ。ひたすらヨセミテを目指して、I-10を車で飛ばしたことを思い出します。
 
夏にキャンプをしたことも、野生の熊に遭遇して固まったことも、早朝4時に起きて撮影をした朝日のことも全て、鮮明に心に刻まれているのですが、中でも好きな記憶は冬のヨセミテです。静かに重く降り積もる雪を、いつまでも飽きずにバンガローから眺めつづけました。静寂の時間は、頭の中をからっぽにしていきました。目の前にある語らない、圧倒的な美しさはちっぽけな私をそのまま包み込んでくれるようでした。
 
ヨセミテに行くきっかけを与えてくれたのが、アンセル・アダムス(Ansel Adams 1902-1984)の写真です。美しいヨセミテの自然を、あえて白黒で撮影をし続けた彼の視線の向こう側に惹かれてヨセミテを目指したのが最初です。影響を受けやすい私は、それからしばらく白黒写真に熱中をして、大学の現像室に入り浸りました。
 
 
冬のヨセミテをビデオで見ることができます。
"Standard" をクリックするとビデオが再生します。
 
 
初めて出会った彼の写真。実際にヨセミテに行ってみたらこのハーフドームにどうしても登りたくなってしまいました。スーパー運動音痴な私が、往復27キロ、17時間かけて泣きながら(こりずに二回も)登りました。またいつか"呼ばれ"ますように。